2025.10.20
          
工場での純水装置導入は、製品品質の安定化や設備の長寿命化、省エネ・環境対応など、幅広い効果をもたらす重要な設備投資です。
一方で、どの方式を選ぶか、どの程度の水質を確保すべきかなど、検討には専門知識が欠かせません。コスト面や補助金活用の判断も含め、導入計画をどう立てるかが成功の分かれ道となるでしょう。
本記事では、純水装置の基礎知識から導入メリット、選定ポイント、導入時の課題と対策までを整理します。

純水装置とは?工場での役割と必要性

純水装置は、水道水や工業用水に含まれる不純物を除去し、製造現場で求められる高純度の水を安定供給するための設備です。
半導体、食品、医薬品など、わずかな異物混入も許されない分野では、生産品質を左右する欠かせないインフラとなっています。
純水と一般水の違いって?
一般的な水道水や工業用水には、カルシウム・マグネシウムなどのミネラルイオンや、有機物、微粒子、微生物などが含まれています。これらの不純物は導電率を上昇させ、配管のスケール付着、設備腐食、製品不良の原因となります。
一方、純水はこれらをほぼ完全に除去した水で、導電率が極めて低いのが特徴です。以下のように、純水と一般水の違いは明確。
| 項目 | 
一般水(水道水) | 
純水 | 
| 含有成分 | 
ミネラル、塩素、有機物、微生物など | 
ほぼゼロ | 
| 導電率 | 
高い(数百μS/cm) | 
低い(1μS/cm以下) | 
| 主な影響 | 
スケール付着、腐食、品質不安定 | 
設備保護、品質安定 | 
純水を利用することで、設備トラブルや品質ばらつきを防ぎ、生産ラインの安定稼働に貢献します。
特に電子部品や医薬品分野では、微量の不純物が致命的な不良につながるため、純水の供給体制が製造工程の信頼性を支えています。
純水装置の主な方式と特徴
純水装置には、主に「イオン交換樹脂方式」「逆浸透膜(RO膜)方式」「電気脱イオン(EDI)方式」の3種類があります。
イオン交換樹脂方式は、イオンを化学的に交換して不純物を除去する方式で、高純度水を得やすく導入コストも比較的低いのが特徴です。一方で、定期的な薬品再生が必要になります。
RO膜方式は、半透膜を通して水分子だけを透過させる仕組みで、薬品を使わずに広範な不純物を除去でき、環境負荷が低い点が強みです。
EDI方式は、電気の力で連続的にイオンを除去する最新技術で、薬品を使わずに高純度水を安定供給できますが、初期コストはやや高めです。
多くの工場では、RO膜を前処理とし、EDIを組み合わせたハイブリッド型システムを導入することで、品質・コスト・環境対応のバランスを最適化しています。
 
工場が純水装置を導入するメリット

工場における純水装置の導入は、単なる水処理の効率化に留まりません。
製品品質の安定化やランニングコストの削減、環境負荷低減など、企業価値を高める多面的なメリットがあります。
製品品質の安定化
製造現場で使用される水に不純物が含まれると、製品の不良や歩留まり低下の原因となります。純水装置は、イオン・有機物・微粒子などを徹底的に除去し、安定した高純度水を供給することで、品質を一定に保ちます。
半導体や電子部品製造では、微量の汚染でも不具合の原因となり、医薬品や食品では安全性や風味の変化を引き起こすことも。純水を用いることで、これらのリスクを防ぎ、品質管理基準の遵守が容易です。
コスト削減とSDGsに貢献する環境対応
純水装置の導入は、長期的なコスト削減と環境経営の両立を実現します。一般水に含まれるミネラルや有機物は、配管やボイラーにスケール(水垢)を発生させ、熱効率を低下させます。
純水を使用することでスケール付着や腐食を防ぎ、メンテナンス頻度・エネルギー消費を大幅に削減可能です。結果として、設備寿命の延長と運用コストの最適化につながります。
さらに、純水装置は排水再利用による取水量削減や、薬品使用量の低減によって環境負荷を抑えることもできます。こうした取り組みは、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」や目標12「つくる責任つかう責任」にも合致。企業の社会的責任(CSR)やESG評価の向上にも寄与します。
設備の安定稼働・コスト削減・環境配慮を同時に実現できる点で、純水装置の導入は“持続可能な工場運営”に欠かせない投資といえるでしょう。
 
導入前に確認すべき3つのポイント

純水装置は、用途や処理能力、維持コストを見誤ると運用トラブルや無駄な出費につながります。
導入前に「何のために、どのレベルの純水が必要か」を明確にし、自社の生産ラインに最適な設計を検討することが重要です。
用途と求める水質レベルを明確にする
純水の純度は、業界や製造工程によって求められるレベルが異なります。
たとえば、電子部品製造では「超純水」が必要な一方、食品・化粧品工場では「低導電率水」で十分なケースもあります。まずは、自社の工程でどのレベルの水質が必要なのかを把握することが第一歩です。
また、JIS規格や各業界の品質基準も参考になります。これらをもとに、製品特性や法規制、衛生基準を満たす仕様を設定し、過剰スペックにならないよう留意しましょう。
処理能力と装置規模の最適化
導入する純水装置の処理能力は、「最大使用量」だけでなく「ピーク時と通常時の差」も考慮して設計することが大切です。過剰設計をすると初期費用・電力消費が増加し、逆に過小設計では安定供給が難しくなります。
処理量の見積もりには、稼働ライン数・生産スケジュール・回収再利用率などを踏まえることが必要です。
また、設置スペース・配管経路・電源容量などの周辺条件も事前確認が必須です。これらを踏まえた現地調査を行うことで、ムダのない導入計画が立てられます。
メンテナンスとランニングコストを把握する
純水装置は、導入後のメンテナンス体制によって寿命とコストが大きく変わります。フィルターや樹脂の交換頻度、薬品再生の有無、RO膜の洗浄サイクルなどを事前に確認しましょう。
また、最近は自動制御や遠隔監視機能を備えたモデルも多く、トラブル発生を早期に検知できるため、保守コストを抑えられます。
導入時には「初期費用」だけでなく、「10年単位での総保有コスト」も比較し、長期的な視点で採算を考えることが重要です。
 
 
導入時によくある課題とその解決策

純水装置の導入では、「思ったほど水質が上がらない」「予算を超えた」「補助金手続きが複雑」といった課題がよく見られます。
ここでは、導入現場で起こりやすい3つの問題と、その具体的な解決策を紹介します。
水質が安定しない・想定より純度が低い
導入後に「水質が不安定」「目標の純度に届かない」といった問題が生じることがあります。主な原因は、原水の変動、前処理の不備、消耗品の劣化などです。
まず、季節や使用状況で原水の成分が変化するため、定期的な原水分析を実施しましょう。また、前処理フィルターやRO膜の目詰まりがある場合は、洗浄・交換による改善が必要です。
さらに、定期点検や導電率モニタリングを行い、異常値を早期に検知できる仕組みを整えることで、安定した水質維持が可能になります。導入時にメンテナンス契約を結んでおくことも効果的です。
導入コストが想定より高くなる
純水装置の導入費用は、装置本体だけでなく配管・電気工事・排水処理などの付帯費用も発生します。初期見積りにこれらが含まれていない場合、予算オーバーになりやすい点に注意が必要です。
解決策としては、現地調査を行い、配管経路・電源容量・既存設備の再利用可否を確認することが挙げられます。特に、既存のろ過装置や軟水器が活用できれば、大幅にコストが削減できます。
また、複数社から見積もりを取り、装置本体だけでなく総工事費を比較することも重要。初期投資だけでなく、運用コストを含めた「ライフサイクルコスト」で判断するのが賢明でしょう。
補助金の申請が複雑で進まない
純水装置の導入では、補助金を利用できる場合がありますが、申請手続きの複雑さが導入の妨げになることも。多くの制度では、申請書や事業計画書、見積書、導入効果の試算など、専門的な書類が求められます。
また、公募期間が短く、審査要件も年度ごとに変わるため、情報収集と準備のタイミングが重要です。これらの負担を軽減するには、制度内容を早めに確認し、自治体や専門機関に相談して最新情報を把握することが効果的。
社内に担当者を置く場合は、補助金申請に関する体制を整備しておくと、長期的に活用できます。
 
純水装置の導入をサポートできる松本電気工事

純水装置の導入には、機器の選定だけでなく、設置環境の調整や電気・配管工事など多岐にわたる専門知識が求められます。松本電気工事は、これらの工程をすべて自社で一貫対応できる体制を持ち、確実で安全な導入を実現します。
現地調査から設計、施工、試運転、補助金申請サポートまでワンストップで対応できる点が大きな強みです。複数業者を手配する必要がなく、導入までの手間やコストを大幅に削減できます。
さらに、建物の電気設備全般を熟知しているため、装置の電力供給や制御盤との連携なども最適化し、安定稼働と長期的な運用コスト削減を両立。導入後も、定期点検や緊急時のトラブル対応など、アフターフォロー体制が整っており、万が一の際にも迅速に対応可能です。
こうした総合力と実績から、松本電気工事は工場・ビル・研究施設など、多様な業種から高い信頼を得ています。純水装置の導入を通じて、生産効率の向上や環境対応を進めたい企業にとって、最適なパートナーとなるでしょう。
工場の未来を支える、水処理設備の最適解を
 

純水装置の導入は、製品品質の安定化や設備寿命の延長、省エネ・環境対応など、工場運営に多くのメリットをもたらします。
しかし、装置の選定から設置、電気・配管工事、アフターメンテナンスまでを一貫して対応できる業者は多くありません。導入を成功させるには、確かな技術と総合的な対応力を持つパートナー選びが重要です。
松本電気工事は、現地調査から設計・施工・補助金サポートまでワンストップで支援し、導入後の安定稼働まで責任をもって対応します。工場の設備投資を確実に成功させたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
信頼と実績に基づく確かな技術で、貴社の生産体制を次のステージへ導きます。
