2025.6.15
電気設備図面の作成には、高度な専門知識と確かなCAD操作スキルが求められます。
図面の品質は、安全性・施工精度・業務効率に直結する重要な要素です。
この記事では、電気設備のCAD図面作成スキルを本格的に磨きたい方に向けて、
「ソフト選び」「効率化テクニック」「図面の品質向上」まで、網羅的に解説します。
- CAD初心者の方はもちろん
- 実務で作図経験のある方
- 設備設計の品質管理を見直したい技術者の方にも
こちらの記事は日々の業務で“使える”実践知識が詰まった構成になっていますので、ぜひお役立てください!
▼ご相談は無料でお問い合わせいただけます。
TEL:0266-52-6188

電気設備CAD図面作成を始める前の準備

電気設備のCAD図面作成をスムーズかつ高品質に進めるためには、事前の準備が非常に重要です。適切なツール選びから、作業環境の整備、そして基礎知識の習得まで、この段階での取り組みが後の作業効率と図面の品質を大きく左右します。ここでは、プロが実践する準備のポイントを具体的に解説します。
電気設備CAD図面作成に適したCADソフトの選び方
電気設備図面の作成において、CADソフトの選定は最初の大きな分岐点です。汎用CADから電気設備設計に特化したCADまで、様々な選択肢があります。自社の業務規模、予算、求める機能、そして操作者のスキルレベルを総合的に考慮し、最適なソフトを選ぶことが成功への第一歩となりますのでしっかり確認しましょう。
● 汎用CAD vs 特化CAD|目的とコストで選ぶ
- 汎用CAD(AutoCAD、JW_CADなど):幅広い作図に対応。自由度が高く、電気設備向けカスタマイズが可能。
- 特化型CAD(Tfas、Rebro、CADEWAなど):配線自動化・照度計算・BIM連携など、電気設備設計に必要な機能が標準搭載。
ソフト名 |
特徴 |
価格帯 |
向いている業務 |
AutoCAD |
高機能、業界標準 |
高 |
大規模・複雑案件向け |
JW_CAD |
軽量・無料 |
無料 |
小規模・個人向け |
BricsCAD |
AutoCAD互換、買い切り可 |
中 |
コスパ重視・中小企業向け |
Tfas、Rebroなど |
電気設備特化、BIM対応 |
高 |
専門業務・BIM併用設計向け |
これらの他にも、VectorworksやIJCADなど、特色あるCADソフトが存在します。無料体験版などを活用し、実際に操作感を試して実際の業務に合ったものを使用するのがおすすめです。
電気設備設計に特化したCADソフトの紹介
汎用CADソフトでも電気設備図面の作成は可能ですが、より専門的な作業効率と品質を追求するならば、電気設備設計に特化したCADソフトの導入が有効です。これらのソフトは、電気設備特有の図記号ライブラリ、配線ルートの自動生成、関連計算機能など、設計業務を強力にサポートする機能を備えています。
日本国内で実績のある電気設備設計向けCADソフトとしては、以下のようなものがあります。
- CADWe’ll Tfas (株式会社ダイキン工業): 電気設備に加え、空調・衛生設備にも対応した建築設備CADの代表格。豊富な電気シンボルや自動配線機能、照度計算連携などが特徴です。
- Rebro (株式会社NYKシステムズ): BIMにも対応した建築設備CAD。電気設備のモデリングや図面作成機能も充実しており、他設備との連携や干渉チェックに強みがあります。
- CADEWA Real (株式会社四電工): 電気設備工事の設計・施工・積算までをトータルでサポートするCADシステム。実務に即した機能が多く搭載されています。
これらの特化型CADは、初期投資が必要となる場合が多いですが、長期的な視点で見れば、作業時間の大幅な短縮やミスの削減により、十分に投資効果が期待できるでしょう。
CADソフトの基本設定と作業環境の最適化
使用するCADソフトが決まったら、次は効率的に作業を進めるための基本設定と作業環境の最適化を行います。使いやすい作業環境を構築することは、作図スピードの向上だけでなく、ストレス軽減やミスの防止にも繋がります。
電気設備CAD図面を効率よく作成するためには、作業前の基本設定と環境整備が欠かせません。まず、図面単位は「mm」、縮尺は図面種別に応じて1/100や1/50などを設定しましょう。スナップやグリッド機能は、配線や機器の正確な配置に役立ち、作図ミスの防止にも繋がります。
また、よく使うコマンドはツールバーやショートカットに登録し、作業時間を短縮しましょう。作業情報を整理しやすくするため、照明・動力・弱電などの設備別にレイヤーを分けておくことも重要です。
作業環境面では、多ボタンマウスや左手デバイス、デュアルディスプレイの導入により、操作性と視認性が向上します。さらに、CADソフトの自動保存機能や適切な表示設定も、長時間作業のストレスを軽減し、図面品質の安定化に貢献します。
作業前に必ず整えたい設定
- 単位/縮尺設定:図面単位はmm、縮尺は図種に応じて1/100・1/50など。
- スナップ・グリッド設定:誤差やズレを防ぐ必須設定。
- ツールバーのカスタマイズ:頻繁に使うコマンドはショートカット化。
- レイヤー管理:図面を「設備種別」や「要素別」に分けて可視化・編集性を向上。
デバイス選びも“生産性”を左右する
- 多ボタンマウスや左手デバイス導入で、作業スピードUP。
- デュアルディスプレイ環境なら、作図と資料確認が並行で可能。
高品質な電気設備CAD図面作成の基本ルール

電気設備のCAD図面は、設計者の意図を正確に伝え、安全かつ効率的な施工を実現するための重要なコミュニケーションツールです。ここでは、誰が見ても理解しやすく、ミスのない高品質な電気設備CAD図面を作成するための基本的なルールについて、具体的なポイントを交えながら詳しく解説します。
見落としがちな基本3点
- 図枠と表題欄の記載内容:図面番号・縮尺・作成者・改訂履歴はマスト。
- JIS準拠の図記号:JIS C 0617をベースに、図記号の正確な理解と統一使用が重要。
- 線種・線の太さ・文字サイズの統一:実線・破線・一点鎖線の使い分けや、文字高さ2.5〜3.5mmの標準化で見やすさUP。
CADソフトによっては、電気設備用の図記号ライブラリが標準で搭載されている場合や、アドオンで追加できる場合があります。これらを活用することで、作図効率を上げるとともに、標準化された記号の使用を徹底できます。
凡例と注記の重要性
凡例(はんれい)と注記(ちゅうき)は、図記号だけでは伝えきれない情報を補足し、図面の理解を助けるために不可欠な要素です。
- プロジェクト独自の記号や配線種別は凡例で明示
- 「ケーブルは天井内配線」「分岐はPF管を使用」など注記で補足
凡例と注記は、図枠内や図面の余白など、見やすく、かつ他の図面情報と混同しない位置にまとめて配置することが一般的です。これにより、図面の可読性が向上し、誤解や見落としを防ぐことができます。
プロが教える電気設備CAD図面作成の効率化テクニック

電気設備CAD図面の作成において、品質を維持しつつ作業時間を短縮することは、プロフェッショナルにとって永遠の課題です。ここでは、長年の実務経験を持つ専門家が実践している、図面作成を格段にスピードアップさせるための具体的なテクニックを詳細に解説します。
レイヤ機能の徹底活用で電気設備図面を整理
CADにおけるレイヤ(画層)機能は、図面情報を整理し、効率的な作図・編集作業を実現するための最も基本的な機能の一つです。電気設備図面では、多種多様な情報が混在するため、レイヤを適切に使い分けることが極めて重要になります。
レイヤー活用で編集・印刷を自在に
- 設備ごと(照明/動力/弱電)や、要素ごと(文字/寸法/配線)に分けることで、
- 特定要素だけ表示/非表示
- 誤操作防止のロック機能
- 印刷設定を個別制御
→ 作業効率と品質が両立
ブロック登録で繰り返し作業を自動化
- スイッチや照明などをブロック化すれば:
- 再利用が一瞬
- 修正が一括で反映
- データ軽量化にも寄与
テンプレートファイルで標準化
- 図枠・レイヤ・スタイル・印刷設定を含めた「雛形.dwt」を用意しておくことで、
- 毎回同じ品質でスタート可能
- 組織内の図面品質も均一化
これらのテクニックを習得し、日々の業務に取り入れることで、作業効率の向上とミスの削減を両立させ、より高品質な電気設備図面を効率良く仕上げることが可能になります。
電気設備の種類別 CAD図面作成のポイント

電気設備は多岐にわたり、それぞれ求められる図面の種類や記載すべき情報が異なります。ここでは、主要な電気設備の種類別に、CAD図面作成における重要なポイントを整理してお伝えします。
これらのポイントを押さえることで、より専門性の高い、実用的な電気設備図面を作成できるようになります。
設備種別 |
主な図面 |
ポイント |
受変電設備 |
単線結線図/機器配置図 |
安全離隔/接地系統/定格記載 |
幹線・動力設備 |
配線ルート図/盤図 |
負荷リスト連携/電圧降下対策 |
電灯・コンセント |
平面図/回路図 |
配灯計画/回路ごとのバランス |
弱電・通信・防災 |
系統図/配置図 |
法令遵守/他設備との干渉回避 |
これらのポイントを踏まえ、各電気設備の種類に応じた適切なCAD図面を作成することで、設計意図を正確に伝え、スムーズな施工と確実な品質管理に貢献することができます。
電気設備CAD図面作成における注意点と品質管理
電気設備CAD図面は、設計者の意図を正確に施工者へ伝え、安全かつ機能的な電気設備を実現するための基盤となるものです。図面の品質は、工事の進行、コスト、そして最終的な建築物の安全性にまで大きな影響を及ぼします。そのため、図面作成段階での細心の注意と、組織的な品質管理体制の構築が極めて重要です。この章では、電気設備CAD図面作成における一般的な注意点、品質を確保するための具体的な手法、そして設計変更への対応やデータ管理に至るまで、プロフェッショナルが実践している品質管理のポイントを解説します。
電気設備図面で起こりがちなミスとその対策
電気設備図面作成においては、細心の注意を払っていても様々なミスが発生し得ます。これらのミスは、手戻りやコスト増、場合によっては安全上の問題を引き起こす可能性もあります。ここでは、代表的なミスとその具体的な対策についてお伝えします。
ミス |
原因 |
対策 |
図記号の誤用 |
JIS規格の理解不足 |
共通ライブラリを整備 |
寸法の記入漏れ |
チェック不足 |
チェックリスト活用 |
他設備との干渉 |
建築図の確認不足 |
設備総合図+調整会議の実施 |
これらのミスを未然に防ぐためには、チェックリストの活用や、定期的な研修によるスキルアップも有効です。
納品前の最終チェック項目とデータ管理
作成した電気設備CAD図面を納品する前には、最終的な品質を保証するための厳密なチェックと、適切なデータ管理が不可欠です。これらを怠ると、手戻りや信頼の失墜に繋がる可能性があります。以下に主要なチェック項目とデータ管理のポイントを挙げます。
最終チェック項目リスト
● データ納品前のチェックポイント
-
ファイル形式(DWG/DXF/JWW)・バージョン確認
-
印刷時の縮尺・色・線幅の確認(PDFプレビュー推奨)
-
フォント化け防止(TrueType使用、埋め込み設定)
データ管理のポイント
- レイヤ構成やブロック定義を論理的に設定
→ 編集効率&トレーサビリティUP
- 改訂履歴の記載・バージョン管理
→ チームでの連携や後工程への引き継ぎがスムーズ
- 定期的な「図面クリーニング」(PURGE、OVERKILL)
→ データ軽量化&エラー防止
これらの最終チェックとデータ管理を徹底することで、高品質な電気設備CAD図面を確実に納品し、顧客満足度を高めることができます。
まとめ
本記事では、電気設備CAD図面作成における準備段階から、高品質な図面を効率良く仕上げるための基本ルール、プロの効率化テクニック、さらには品質管理に至るまで網羅的に解説しました。
これらの知識を習得し実践することで、見やすく正確な電気設備図面を迅速に作成するスキルが向上します。
その結果、施工品質の向上、手戻りの削減、そしてプロジェクト全体の円滑な進行に大きく貢献できるでしょう。ぜひ本記事で紹介した秘訣を活用し、日々の業務にお役立てください。
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TEL:0266-52-6188
