2025.6.5
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空調服を導入したのに、現場から“まだ暑い”という声が止まらない」──そんな経験はありませんか?
実は、空調服だけでは防げない“暑さの壁”が現場には存在します。
本記事では、空調服の限界とその原因を紐解きながら、辞めない現場を実現するための具体的な暑さ対策3選と、費用を抑える補助金活用法までをわかりやすく解説します。

空調服を導入しても、現場の声は「まだ暑い」
工場の暑さ対策として「空調服」は今や当たり前の時代。多くの現場で導入が進む一方、「空調服を着ていても暑すぎる」「全然効かない」という声が後を絶ちません。
なぜ、せっかく導入した空調服が“効かない”と感じられてしまうのでしょうか。
その背景には、環境・作業内容・運用の3つの壁が隠れています。まずは、現場でよくある「空調服が効かない」理由を明らかにしていきましょう。
空調服が効かない理由:環境・作業内容・バッテリー制限
空調服は、外気を取り込み汗を気化させて体温を下げる仕組みですが、現場環境や作業内容によって効果は大きく左右されます。高温多湿な密閉空間や熱源の多い作業場では、気化効率が低下し、冷却効果が追いつきません。さらに、防護服との併用や激しい作業では空気の流れが妨げられ、機能が大幅に制限されます。バッテリー切れやメンテナンス不足も影響し、こうした複合的な要因が「空調服だけじゃ足りない」と感じさせる原因となっているのです。
「辞めた新人の一言」が胸に刺さる:管理者の焦りと孤独
「空調服を着ても地獄でした」「暑さで辞めます」──そんな一言を最後に、若手が次々と辞めていく。
対策を講じたはずなのに離職は止まらず、「管理者として失格なのか」と自問する日々。
現場は地獄のように暑いが、上層部にはその深刻さが伝わらない。
“もう打つ手がない…”と感じている人も少なくないのではないでしょうか。
空調服を導入したという事実と、「でも暑い」という現実のギャップ。その板挟みの中で、管理者だけが孤独に悩み続けているのです。
「働きやすい現場」は、人が辞めない“最大の武器”になる

夏の過酷な作業環境は、従業員の体力だけでなく「働き続けたい」という意欲さえも奪います。
「暑すぎて辞めたい」という理由で人材が流出する現場では、採用や育成にかかるコストも膨らみ、企業としての競争力をじわじわと蝕みます。
今や“働きやすさ”は、離職防止だけでなく、優秀な人材を惹きつける最大の武器。暑さ対策は単なる衛生管理ではなく、経営戦略としての重要度が高まっているのです。
「暑さ=人材流出」の見えにくい損失
夏の暑さで従業員が辞める。その影響は、単なる人手不足では済みません。
人材の離脱は、経営にさまざまな「見えにくい損失」をもたらします。
暑さによる人材流出が引き起こす主な損失
- 採用コスト
求人広告、紹介会社への手数料、選考にかかる時間と人件費。
- 教育・研修コスト
初期研修やOJTに伴う業務負荷、生産性の低下、教育工数の損失。
- 生産性の低下
欠員補填による残業増加、チームの士気低下、熟練者の技術喪失。
- 品質リスク
不慣れな人材によるミスやヒューマンエラーの増加。
- 安全衛生リスク
暑さによる判断力の低下や熱中症のリスク増大。
- 企業イメージの悪化
「環境が過酷な職場」との評判が広がり、採用難につながる。
これらのコストは財務諸表に明確には現れませんが、確実に企業の競争力を蝕んでいきます。
特に製造業においては、熟練人材の退職が技術継承に大きな影を落とし、長期的な損失となりかねません。
口コミと評判が、採用と定着に直結する時代
近年、求職者は企業の公式情報だけでなく、口コミやSNSを通じた「実際の職場環境」に注目するようになっています。
特に労働環境や従業員対応に関する“生の声”は、以下のようなメディアを通じて急速に拡散され、企業イメージに大きな影響を与えます。
- 企業の口コミサイト(転職会議、OpenWorkなど)
- SNS(X、Instagram、Facebookなど)
- 匿名掲示板・Googleマップのレビュー機能 など
例えば「夏場は空調服があってもサウナのよう」「暑さで辞めた人が多い」といった口コミが広がれば、応募者は不安を感じ、採用活動にも大きな支障をきたします。
一方で、「従業員の健康を重視し、空調設備を導入」「暑さ対策に本気で取り組んでいる」というポジティブな情報は、企業の魅力を高め、採用力や定着率の向上に直結します。
従業員自らが「この会社は働きやすい」と周囲に薦められる職場づくり(リファラル採用の促進)は、採用コスト削減と人材の質の両立を可能にする有効な手段です。その基盤として、暑さ対策を含めた労働環境の整備は欠かせない経営課題と言えるでしょう。
空調服+αで変わる!“辞めない現場”をつくる3つの対策

空調服は有効な暑さ対策の一つですが、それだけで過酷な作業環境すべてをカバーするのは難しいのが現実です。
「着ていても暑くて集中できない」「汗だくで体力が限界」といった声が後を絶たない理由は、現場環境の複雑さにあります。
そこで本章では、空調服の効果を高めつつ、“辞めない現場”をつくるために実践したい3つの具体的な対策を紹介します。
① ヒートポンプ式スポットクーラーで“熱の核心”を冷ます
工場内の暑さの大きな要因は、機械からの排熱や屋根からの輻射熱など、局所的に発生する強烈な熱です。
この“熱の核心”を直接冷却できるのが、ヒートポンプ式のスポットクーラーです。
一般的なスポットクーラーは、冷風と同時に排熱も発生させるため、設置場所や運用方法によってはかえって周囲の温度を上昇させてしまう場合があります。
一方、ヒートポンプ式のスポットクーラーは排熱を屋外に逃がせる設計で、冷却効果の高い空気をピンポイントで届けることができます。これにより、空調服で循環させる空気も冷たくなり、体感温度を大きく下げることが可能です。
主なメリットは以下のとおりです:
- 熱源近くの作業環境を局所的に冷却できる
- 空調服との併用で冷却効率が向上する
- 冷却エリアを限定するため、エネルギー効率が高い
- 適切な配置により、作業者の集中力・安全性を向上させられる
導入時は、対象エリアの広さ・熱源の種類・電源容量などを考慮し、適切な機種選定が求められます。
冷却設備の整備は、単なる快適性の向上にとどまらず、労働災害のリスク低減や生産効率の安定化にもつながります。
② カーテン仕切り&導線整理で“冷気のロス”を最小限に
工場全体を冷やすには多大なエネルギーが必要ですが、実際に冷却が必要なのは作業者が集中する一部のエリアです。
そこで有効なのが、ビニールカーテンやパーテーションを活用したゾーニングによる空間の区切りです。
冷却対象を必要最小限に絞ることで、空調の効率を飛躍的に向上させることができ、ランニングコストの削減にもつながります。
熱源のある場所と作業エリアを分けるだけでも、冷気の損失を大幅に抑制できます。
また、作業導線を見直すことで、高温エリアへの滞在時間を減らすことも可能です。
移動の無駄を省くことで、暑さによる疲労や集中力の低下を防ぎ、安全性の向上にも寄与します。
低コストで即効性のある対策として、まず検討したい手法です。
③ AI&搬送機器で「動かなくていい環境」をつくる
暑さによる負担を根本から減らすには、作業者が「動かなくても済む」環境づくりが鍵となります。
重量物の搬送や繰り返し作業といった身体的負荷の大きい工程に、AIや自動搬送機器を導入することで、作業者の移動距離や負担を大幅に削減できます。
たとえば、AGV(無人搬送車)や協働ロボットを活用することで、熱源周辺での滞在時間を減らし、暑さによる疲労やヒューマンエラーのリスクを低減できます。
また、AIによる画像認識での製品検査や、生産スケジューリングの最適化も、高温環境下での作業を効率化する有効な手段です。
一見ハードルが高く見える自動化ですが、労働環境改善と人材定着に直結する、将来的な投資効果は非常に大きいといえます。
「そんな予算ないよ…」を乗り越える“補助金という選択肢”

「導入したい設備はあるけれど、予算が足りない」──多くの中小企業が暑さ対策において直面する課題です。
ヒートポンプ式の空調機器や搬送設備などは効果が高い一方で、初期投資の負担が重く、躊躇してしまうケースも少なくありません。
しかし、こうした状況を支援するために、国や地方自治体では補助金・助成金制度を多数用意しています。
工場の暑さ対策に使える補助金とは?
「予算がネックで設備投資に踏み切れない」──そんな企業を支援する補助金制度は、実は複数あります。
主な対象となる制度(一部例)
- 事業再構築補助金
▶ 空調・換気設備を含む大規模な設備更新が対象。
▶ 補助率最大2/3、数千万円規模も。
- ものづくり補助金
▶ 生産性向上に資する暑さ対策設備も対象。
▶ 小〜中規模投資に適し、導入しやすい。
- エイジフレンドリー補助金
▶ 高齢作業者向けの熱中症対策(冷却ベスト・休憩所整備等)に最適。
▶ 補助率1/2、上限100万円。
- 自治体独自の補助制度
▶ 省エネ・快適職場推進・BCP対策などで対象となるケースあり。
活用のポイント
- 補助率・上限額・対象設備は制度ごとに異なります。
- 多くの制度で「事業計画書」や「効果見込み」が求められ、早めの準備と専門的な支援が成功の鍵となります。
- 最新情報は「ミラサポplus」や厚労省・自治体サイトを必ずチェックしましょう。
松本電気工事が行う“申請まるごとサポート”の流れ

補助金を活用したいが、「申請書類が難しい」「どの制度が合うのかわからない」と感じる企業も多いのではないでしょうか。
松本電気工事では、暑さ対策設備の導入から補助金の申請・報告までを一括で支援。経験豊富なスタッフが、以下の流れで伴走します。
サポートの流れ
- ヒアリング・現地調査
課題・予算・設備のご要望を丁寧に把握。
- 最適な補助金の選定・提案
国・自治体の制度を比較し、効果的な申請方針を策定。
- 申請書類の作成支援
採択率を高めるポイントを押さえた書類を作成。
- 申請手続きと進捗管理
提出・質疑対応も含めてサポート。
- 採択後の報告・フォロー
交付手続きや実績報告まで対応。設備の運用サポートも。
補助金を活用し、負担を抑えて最適な対策を導入したい企業様は、まずはお気軽にご相談ください。
まとめ|空調服だけじゃない、“守るための技術”を現場に

空調服は有効な暑さ対策の一手ですが、それだけでは限界があります。
作業環境・業務内容・設備条件などが複雑に絡む工場では、「空調服+α」の多面的な対策が不可欠です。
スポットクーラーや空間のゾーニング、省人化設備の導入は、熱中症リスクを抑えるだけでなく、作業効率や定着率の改善にも直結します。
補助金を活用すれば、コストを抑えて“辞めない現場づくり”を実現することも十分可能です。
現場の安全と、従業員の働きやすさを守ることは、企業の持続的成長を支える土台になります。
「空調服だけでは足りない」と感じた今こそ、本質的な暑さ対策に踏み出すべきタイミングです。
まずは一度、私たちにご相談ください。
課題の整理から設備導入、補助金申請まで、御社に最適な形でご提案いたします。